経営者の頭の中には「どうやって節税するか」「取引先が倒産して、売掛金が回収不能になってしまったら」という悩みや不安が常にあるのではないでしょうか。
今回は、「節税もできつつ、倒産リスクも回避できる」経営者にとって、嬉しい制度を紹介いたします。「中小企業倒産防止共済」(経営セーフティ共済)です。
月々の掛け金を支払っておけば、取引先が倒産して売掛金などの回収ができなくなった場合に、共済金の貸付が受けられる制度です。
取引先が倒産し、売掛金を回収できなくなった場合に、「『実際の損害額』と『納付済掛金の10倍の金額(最高8000万円)』のどちらか小さい額」を貸してくれるので、万一の時も資金調達ができます。
例えば、掛け金を500万円払っており、4000万円の売掛金が回収できない場合は、5000万円(納付額の10倍)>?4000万円(売掛債権)ですので、4000万円の借り入れが可能となります。
取引先が倒産して、債権が回収できなくなった場合に、無担保・無保証人で最大8000万円の貸付を受けられます。
掛金全額が所得控除になるため、節税することができます。?掛金の月額の上限は20万円ですので、年間最大240万円を必要経費として計上できます。
つまり、節税しながら、万が一に備えることができるのです。
※月々の支払いに限らず、半年払いや一括払いも可能です。
例えば、決算まで残り2、3ヶ月で利益が出ている状況を想定した場合に、まとめて払って、利益を圧縮することが可能です。
しかし、経営にとって一番大切なものはキャッシュです。
健全な経営を維持していくためにも、経費とキャッシュのバランスを考えておくことが重要です。
掛け金は5000円から20万円の範囲で設定が可能で、掛け金は総額800万円まで積み立てが可能です。
取引先事業者が倒産していなくても、共済契約者の方が臨時に事業資金を必要とする場合に、解約手当金の95%を上限として貸付けが受けられます。
※例えば、掛け金10万円で3年経過している場合・・・
10万円×36ヶ月=360万円
(解約金=360万円×90% ※下記の返戻率より)×95%=約307万円
を借りることができます。
ただし、その場合は、加入後6ヶ月間は、共済金の貸付を受けられませんのでご注意ください。
メリットばかりを取り上げてきましたが、経営セーフティ共済のデメリットもご紹介しておきましょう。
解約金は利益としてみなされるため、満額800万円を預けている場合には、800万円は利益として計上されることになります。
40カ月以上なら返戻率100%ですが、それ未満の解約時には手数料が発生してしまいます。
下記は、解約時時期とその返戻率です。
12か月未満・・・返戻率0%(全額没収)
12~23カ月・・・返戻率80%
24~29カ月・・・返戻率85%
30~35カ月・・・返戻率90%
36~39カ月・・・返戻率95%
40カ月以上・・・返戻率100%
1年以内は全額没収となってしまうので、注意が必要です。
中小企業倒産防止共済のメインの役割は、「連鎖倒産」のリスク回避ですが、節税面でも活躍してくれます。ただし、解約時は要注意です。掛けるときは節税になっていましたが、返戻金を受け取る時は、節税していた分の税金を納めなければならないのです。
ですので、解約するタイミングは、考えておく必要があるでしょう。
例えば、設備投資や建物の修繕費用など、まとまった支払いが発生するタイミングに解約するのがいいかもしれません。
また、ある程度赤字になるのが決まっている場合や、使い切れていない繰越欠損金の期限(最大9年)が迫っている場合も、中小企業倒産防止共済への貯蓄分を使えば、相殺できますので、解約するタイミングの1つとしてふさわしいかもしれません。
そうすれば、資金繰りも含めてうまくいくかと思います。
中小企業倒産防止共済は、中小企業や設立したての企業にとって、節税面と資金調達面で便利な制度ですが、解約のタイミングも含めて少々難しい制度です。
メリットだけをうまく活用するためには、税理士にアドバイスをもらうのがいいと思います。
弊社では、中小企業倒産防止共済以外にも、節税や資金繰りに繋がるアドバイスができますので、ぜひ一度ご相談ください。
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中小企業倒産防止共済を利用すれば、
貯金が経費になり、最大で800万円まで節税可能